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子ども食堂 半径500mの限界点

「エンゼルこども食堂」

慈恵病院で毎週木曜日に開催している子ども食堂です。
昨年の4月にスタートし、開催回数も40回を超えました。

1回あたり30~60人のお子さんが来てくれるのですが、家庭背景は様々です。
「あの子に子ども食堂は必要ないのでは?」と言われそうなお子さんの参加もありますが、私はそれが良いと思っています。

もしも子ども食堂が明らかな貧困家庭のお子さんしか対象にしなければ、参加者はほとんどなくなります。まず、親御さんが行かせたがりません。
福岡の子ども食堂では、「子ども食堂を必要とする子が10人中、1人くらいいればいい」という方針で運営されていると伺いましたが、私も同感です。

ところで、子ども食堂に来てくれていたお子さんが、ある日パタッと来なくなることがあります。いわゆる「子ども食堂を必要としない子」が来なくなるのは、面倒くさくなっただけだと理解できるのですが、「必要とする子」が突然来なくなると心配します。

恐らく最大の理由は距離だと思います。一度家に帰り、ランドセルを置いて、さらに30分歩いて来るお子さんもいました。学校から帰って疲れているのに、それから歩くのは負担です。帰り道については車で送ったりもするのですが、それでも子ども食堂に行くのがおっくうなんだと思います。

子ども食堂をスタートする前は、慈恵病院のある校区だけでなく、近隣校区のお子さん達の役にも立ちたいと考えていましたが、やってみると限界を感じます。自分たちのいる校区でさえカバーできていません。

子ども食堂を必要とするお子さんが継続して来てくれるには、歩くのに負担のない距離が必要です。半径1.5kmは遠すぎました。地図を見ながら個人的に思ったのが、半径500mです。

それを考えると、子ども食堂は慈恵病院で行っている大規模なものではなく、小規模な活動が多くあった方が良いように思います。

「200~300m以内の近所のお家に子ども2~3人が集まって食事をする」

私はそんな理想のイメージを持っています。
規模が大きくなると、食材やマンパワーの継続性が危うくなります。
近所のお家の夕ご飯に招かれるレベルなら、自分たちの夕食のおかずを多めに購入する事でまかなえます。寄付に期待してヤキモキする必要もありません。

この方式には幾つかの問題もあります。
「必要とする子とどうやってつながるのか?」
「一個人の家に子どもが行く、家に受け入れる際の信頼関係や安全性は?」
実現は難しいかもしれません。

・身近にないと、必要とする子どもの役に立たない
・開催場所、資金、食材、マンパワーの永続性をどうするべきか

エンゼルこども食堂のみならず、多くの子ども食堂が抱える課題だと思います。