月別アーカイブ: 2020年4月

本日の病院ごはん 4月17日

本日は病院の当直です。
夕食は中華料理でした。

ボリューム感いっぱいです。
ベトナム料理の生春巻きも付いていました。
カメラのホワイトバランス設定ミスで彩りが今ひとつですが、実物はもっと美味しそうでした(^_^)

タトゥーと陣痛、どちらが辛い?

当院では年間400人以上の妊婦さんが無痛分娩を選ばれます。

無痛分娩では麻酔チューブを背中や腰に挿入するのですが、その関係上、毎日のように妊婦さんの背中に向き合います。

時々タトゥーがあしらってある背中にお目にかかるのですが、中には背中いっぱいに描いてあるタトゥーもあります。背中を越えてお尻、太ももにまで広がっていたりもします。

タトゥーを入れるのは痛そうというイメージがありますよね。
立派なタトゥーを入れるために痛みを我慢できる人なら、陣痛の痛みに耐えられるのではないかと思うのですが、陣痛は別次元のようです。
陣痛の痛みに比べればタトゥーの痛みはずっと楽なのだそうです。

ちなみに私はタトゥーの上に麻酔針を刺す前に、「麻酔チューブを入れると、タトゥーにキズが入るかもしれません」とお断りするようにしています。
中学生の頃に読んだマンガ『ブラックジャック』の影響です。
この中に「イレズミの男」というエピソードがあります。

ヤクザの大親分がブラックジャックに癌の手術を依頼するのですが、大事なイレズミにキズを残さない事が条件でした。顔以外の全身にイレズミが施されているわけですから、イレズミにメスを入れなければ手術は不可能です。しかしキズが残れば7000人の子分たちがブラックジャックの命を取りに来ます…。

ブラックジャックは何度も読み返したマンガです。中学生の私は、タトゥーが持ち主にとってとても大事なものだということを刷り込まれました。
結果としてタトゥーの麻酔の前には先のお断りをするようになりました。
ただ、当の産婦さんは、「そんな事はどうでもいいから、早く麻酔をして陣痛の痛みを取ってください!」という気持ちのようです。

 

お母さん、ボクを殺さないで!

 

 

仙台駅の前で菊田昇先生の本を読んでいます。

昨日は菊田先生の奥様、ご長男様にお話を伺いました。

菊田昇先生は蓮田太二や私にはとても真似のできない闘いをなさって特別養子縁組制度を導かれました。これは素晴らしいご功績で、救われた母児は少なくありません。

しかし、この制度が実現して30年が経つのに、いまだに遺棄・殺人は無くなりません。

世の中には、「いわゆる常識」「普通」から外れた境遇や思考パターンに至ってしまう女性がいます。彼女たちを責めるのは簡単ですが、彼女たちの多くは過酷な生育歴・人生を歩んできています。

赤ちゃんを産んだら、家族に報告して出生届を出すのが当たり前の事ですが、どうしてもそれをできない女性が(極めて少数ながら)存在するのです。必死になって妊娠・出産を隠し通し、時として自宅で独り出産し、中には赤ちゃんの遺棄や殺人につながるケースさえあります。

この現象を少しでも少なくするには、身内や同僚、友人に知られる事なく出産できるシステムを構築しなければいけません。それが「こうのとりのゆりかご」であり、内密出産であり、匿名出産です。

出産した事実を赤ちゃんにすら秘密にする事を保証しなければ、この問題は改善できません。菊田昇先生でさえ、核心となるこの問題を解決できずに天国へ召されました。

「赤ちゃんの遺棄・殺人防止」⇔「出自を知る権利」

この相対立する課題をどう解決するのか…

頑張らなければいけないけれども、気の重い宿題です(T_T)

 

 

 

南アフリカ 黒人居住区の見学

久しぶりの南アフリカ報告です。

早くしなければいけないと思いつつ、日々の診療にかまけているうちにブログが置いてきぼりになってしまうのです😭

今回は黒人居住区の報告です。

正確には黒人居住区(昔は黒人のみの居住区だった)という事になるのでしょうが、実際は今でも住人のほとんどが黒人の街でした。

南アフリカにはアパルトヘイト政策の一環でできた黒人居住区がいくつもあります。アパルトヘイトは廃止されましたが、今も経済的に貧しい黒人が多く住む街があります。

私が訪問したのは、ヨハネスブルグのソウェト地区です。ここは南アフリカ最大の黒人居住区ですが、私がGoogle Mapで計ったところ、約23×14㎞ありました。熊本市中央区と東区を合わせた面積より広そうですし、東京の山手線の内側の2倍位はありそうでした。


ソウェトは貧民街と思っていたら、最初に案内されたのが、この高級住宅街です。
成功した黒人の居住区だそうです。ソウェトには貧民街も高級住宅街もあるわけです。


南アフリカではアパルトヘイト撤廃の後、黒人優遇政策がとられ、成功しリッチな黒人がいる一方、白人でもホームレス状態の貧困者がいるそうです。

富裕層居住区では、どの家も周囲に防犯用の電気柵が張り巡らされています。

高級住宅街の200m先には、ご覧のような集合住宅が並んでいました。
元は政府が黒人支援のために建てたものだそうですが、現在は民間に払い下げられている賃貸住宅です。
高級住宅街とのギャップを感じます。

細い電線がクモの巣のように張り巡らされていますが、これは契約せず勝手に電気を引き込む『盗電』の電線です。

こちらは貧民地区です。
バラック小屋が建ち並び、衛生環境も悪そうです。

一角には共用の簡易トイレが‥

信号停止した車窓から撮った写真です。
道路脇のゴミ捨て場から燃料になりそうな物を集めているのだそうです。
暖を取ったり煮炊きをするのに使うのでしょうか…

道端でニワトリの足の指を焼いて売っていました。
日本人は足の指を食用にする事がほとんどないのでドキッとします。

ツアーバスの運転手さん曰く、「この前乗せたアメリカ人が、窓を開けて鳥足を買い求めたんだ。危ないから、そんなことをしないように」

ソウェトでは、とにかくバスの外に出ないようにと釘を刺されました。
危険なんだそうです。
けれどソウェトで生活している人々からすれば、そんな言われ方は心外なのではなのかもしれません。
「安全な街ではないかもしれないけれど、現に私たちは毎日暮らしているし、言われるほどひどい所ではない」と…

けれど徹底的に警戒するからこそ、南アフリカの白人も日本人も犯罪に巻き込まれずに生活できているのも事実です。

黒人を危険視する白人と、被害者意識の強い黒人との間の溝を見てしまったような気がしました。両者が一体感を持って共生できる日は遙か先ではないかと感じた次第です。