どうして「こうのとりのゆりかご」に預けてくれなかったのか?

乳児の遺棄事件や殺人事件の報道に接すると、どうして「こうのとりのゆりかご」に預け入れしてくれなかったのか残念に思います。
その事情を教えてもらい、事件の再発防止に向け対策を立てたくて裁判の傍聴を始めました。

被告となった女性に事情を伺うと、
「『赤ちゃんポスト』という名前は聞いたことがあるけれど、どんなものかは知ら       なかった」
「遠くて行くことができなかった」というお返事が多いです。

確かに14年前にスタートした当時は知られていた「ゆりかご」も、最近は知られなくなりました。
特に若年層に知名度がないのが頭の痛いところです。

また、予期しない妊娠の末に独りで出産する女性は経済的に困っていることも少なくなく、遠方から来るには交通費がネックになります。

時間的な制約もあります。
妊娠・出産の事実を家族や職場に知られるわけにはいかないため、日帰りのつもりで慈恵病院を目指す女性がほとんどです。
首都圏から新幹線で赤ちゃんを連れてくる女性はいますが、例えば北海道や東北は厳しいと思います。
赤ちゃん連れということもありますし。

このような実情から、私は各都道府県に1カ所ずつ「ゆりかご」が設置されることを願っています。
自分が居住する地域なら地理的情報がありますし、費用や時間の面でもハードルが下がります。
これを実現できれば不幸な事件も少なくなると思うのですが…