内密出産を希望する女性に、これを断念させることは難しくありません。
日本には内密出産の定義やルールはなく、各施設が独自に基準を設けています。佐藤さんの事例のように「彼が妊娠を知っているから内密出産はできない」という理屈を盾にすれば、相談した女性はそれに従うしかありません。その理屈は慈恵病院基準では屁理屈ですが。詳しくは下記をご参照ください。
「賛育会病院で内密出産希望だった佐藤さんとのやり取り」の3頁
「賛育会病院の取り組みに対する意見書」の4頁
また、このような女性たちの中には他人の顔色をうかがって、相手に合わせる言動をとる人が少なくありません。これは愛着障害や低い自己肯定感を抱えた人にしばしば認められる傾向です。「自分が我慢すればいい」という発想で難所をくぐり抜けてきた人は、自分が納得していなくても他人の意見や指示に従ってしまいます。
病院関係者や行政関係者、妊娠相談窓口の担当者が「大人の正論」や理屈を並べ立てれば、専門知識のない女性たちに勝ち目はありません。
あるいは「あなたなら生活保護や母子寮(母子生活支援施設)など、社会資源を利用すれば赤ちゃんを自分で育てられるし、生みのお母さんに育ててもらえれば赤ちゃんもうれしい」と輝かしい未来を示して、女性をその気にさせることもあります。
こうして女性の匿名性を撤回させることに成功した大人たちは、「きちんと説明すれば、匿名にしなくても済む」と考えているようですが…。
次の記事では、その悪影響についてご説明します。

