気の毒です

 

熊本県芦北町でベトナム人実習生が双子を死産し、逮捕され起訴、裁判になろうとしています。彼女は二人の子どもに名前を付け、手元にあった段ボール箱に布を入れ、その中に子どもたちを安置し、埋葬を希望していたのですが、結局罪に問われることになりました。

私が知る限りの情報では犯罪性はなく、これで有罪なら全国で発生している自宅死産ケースの女性たちも今後危ういと心配です。

彼女を支援する方とのご縁で彼女とは面識があったのですが、釈放中の彼女がご遺骨を携えて挨拶に来てくれました。検察はなかなか赤ちゃんのご遺体を返してくれず、死産から5ヶ月経った先日にやっと火葬が実現したそうです。解剖は年初に終わっていたようですから、早くに返してあげればよかったものをと思うのですが。

彼女に初めて会ったとき、表情の幼さに痛々しい気がしました。
21歳と言えば、わが娘と年は変わりません。
自分が親だったら辛いだろうと…

日本という異国の地で働き、得たお金の多くを母国の家族に仕送りしていた頑張り屋です。産婦人科医としては、死産した女性の打ちひしがれた姿に接することがありますので、彼女の喪失感、不安感はいかばかりかと同情します。

「どうして避妊をしなかったのか」という人もいるかもしれませんが、日本では避妊できずに年間15万件の人工妊娠中絶が行われています。その背景には男性の性欲が存在するのですが、矢面に立たされるのは女性たちです。

「中絶をすればよかったものを」と考える人がいるかもしれませんが、世の中には、「お腹の中の赤ちゃんを殺すことだけはできない」と言って出産する女性がいます。人生観、価値観、倫理観は人によって様々です。

近いうちに裁判が始まるようですが、彼女の重荷が早く取れることを願っています。