hasuda のすべての投稿

無痛分娩のビデオ作っています

当院では月に1回無痛分娩の説明会を行っていますが、予定の合わない妊婦さん・ご主人様がいらっしゃって、皆さんに情報提供ができないのが難点でした。
そこで無痛分娩の説明ビデオの制作を始めました。

もともと説明会では1時間以上かけてお話ししますが、これをテーマ別に分けて動画を作り、病院のホームページやYouTubeにアップします。
11月末には完成すると思いますので、無痛分娩に関心をお持ちの方は是非ご覧下さい。

それにしても、動画の収録は素人にとって大変です。

「伝えるべき内容を忘れずに伝える」
⇒ カメラを前にすると、話すべきことが頭から抜けてしまう

「視聴する人にわかるようにゆっくり、はっきり話す」 ⇒ 早口の私は自己嫌悪(T_T)

「笑顔で」 ⇒ 緊張すると笑顔が出ない

「放送部に、演劇部に入っていれば良かった」
そんなことを思いながら収録を続けています。

『医者の告白』より

私が大学生の頃に読んだ本です。
この中の一節、分娩のシーンを思い出しましたので抜き出してみました。
医学生が初めて分娩に立ち会った時の体験を描いています。
(漢字・ひらがなの表現は原文のままです)

私がはじめて出産に立ちあったときのことを、いま、まるで今日のできごとのようにはっきりと思いだす。

産婦は郵便局員の若い妻で、二度目の出産であった。彼女はあおむけに横たわり、ふくれあがった腹をむき出しにし、がっくりと両手をたれ、ひたいには大つぶの汗が流れていた。陣痛が襲ってくると、膝を弓のようにまげ、歯をくいしばってうなり声をだすまいと骨折ったが、しかしどうしても、うならないわけにはいかなかった。

「まァ、まァ、奥さん、もうすこしのしんぼうですよ、ね!」平気な落ちつきはらった調子で担当医は産婦をなだめた。

夜は無限に長かった。産婦はもうがまんしていなかった。泣声をあげ、身をふるわし、指をおりまげて、病院中にひびきわたるほどにうなりたてた。そのうなり声は廊下をしんどうさせて、それからどこか遠くの天井の方に消えていった。

ある特別に強かった陣痛のあとで、産婦は担当医の手をしっかりつかみ、ぐったりとした蒼白なおももちで、痛ましい祈るようなまなざしを彼に向けた。

「先生、どうぞおっしゃって下さい、私、死ぬんじゃないでしょうか?」彼女は苦悩をこめてたずねた。

中略

ようやく、その夜おそくなってから、出産は終わりにちかづいた。まず小さな頭があわられた。産婦の全身は、自分から子供を押しだそうとする必死の努力でひきつった。赤児はついにでた。左がわの首すじに大きな血まじりの瘤をもち、ぶかっこうな長い頭蓋をもってこの世にでた。
産婦はウトウトねむりにおちた。

「なに、かるいお産さ、だからかくべつの興味もありゃしないよ、」と担当医はいった。

これがなんのかわったところもない≪ふつうの≫ことであった!……しかも問題は≪文明≫が出産を一そう困難なものとした、という点にあるのではない。女性はつねにひじょうな苦悩をもってお産をするものである。すでに古代の民が、この不可思議なことにおどろきの眼をみはり、これを神の呪としてしか解しゃくすることができなかったではないか。

1900年に発表された作品ですので、当時の医療状況と現在はずいぶん異なりますが、分娩については大きく変わらないかもしれません。
陣痛の痛みを「自然のもの、当たり前のもの」と考える人は多いと思いますが、トラウマになるほど辛い思いをしながら出産する女性もいます。

ヨハネスブルグ ~世界で最も危険な都市!?~

ネットやガイドブックの情報では、南アフリカのBaby Boxがあるヨハネスブルグは相当危険な都市なのだそうです。戦時下にある地域を除けば、世界で最も危険な都市とも書いてあります。
日本の熊本とはあまりのギャップです。
熊本で犯罪に巻き込まれるなんて、日常にはまず考えられないですから。
熊本で空き巣、自動車・自転車の盗みはあり得ますが、強盗でも発生したら大ニュースです。
ちなみにヨハネスブルグでは1日の殺人事件死亡者が50名だそうです。

ヨハネスブルグを案内して下さった通訳のご夫妻(日本人)によれば、安全のためにバスや電車などの公共交通手段は使うべきではないそうで、ひたすら自家用車で移動しました。それも危険な地域を避けるために、わざわざ遠回りしてながらハイウエイを走りました。                                                                                                                                                    

前を走っている白いワゴン車は乗り合いタクシーです。
通称「ブラックタクシー」で運賃は安いものの、「絶対お勧めしない」と言われました。
降車後に同乗のお客に後を付けられて、強盗に遭うかもしれないそうで‥

近くで見ると、トヨタのハイエースで、親しみもわくブラックタクシーですが。

交差点付近では物売りの姿をよく見かけました。
彼はDJだそうで、自分で作ったCDを売っていました。
写真を撮らせてくれることを条件に1枚購入しました。
(いくらだったかは忘れました)
笑顔で元気そうですが、とても痩せているのが気になりました。

貧困は黒人だけではありません。
白人も道路の隙間を縫って物売りをしています。
南アフリカと言えば、アパルトヘイトで黒人が差別されているイメージが強いですが、近年はリッチな黒人もいればホームレスの白人もいるそうで複雑です。

南アフリカに行ってきました

遅くなって恐縮ですが、6月に南アフリカのBaby Boxを見学してきましたのでご報告します。

まずは久しぶりの国際線搭乗報告です。
利用したのはアラブ首長国連邦に本拠地を置くエミレーツ航空です。
関西国際空港⇒アラブ首長国連邦のドバイ国際空港⇒南アフリカ、ヨハネスブルグのタンボ国際空港と乗り継いでの長旅でした。

エミレーツ航空のCAさんは出で立ちからしてアラブの雰囲気いっぱいです。
ちなみに上の写真にはビジネスクラス、ファーストクラスの表示がありますが、実際に乗ったのはエコノミーです^_^;

機体はエアバスA380!
世界最大の旅客機を目の当たりにしてワクワクしながら撮影しました。
小学生の頃、熊本上空をジャンボジェットが飛来してきた時や高校生の頃コンコルドを見た時の興奮です。
同行した娘にはピンとこなかったようですが‥

往路は最前列に座らせてもらいましたので、エコノミークラスなのに足を伸ばせました。
ただ、この席は、「文書または図で示された緊急避難に関する英語の指示を読んで理解でき、口頭による乗務員の指示を理解できること」「他のお客様に対して情報を口頭で、適切に伝えることができること」が条件だそうで、「この席に座ってもだいじょうぶ?」と後ろめたい気持ち半分でした。

私の座席の前はご覧のように広い通路です。
右手前の階段からは2階のビジネス・ファーストクラスに通じています。

離陸前の操縦室はドアが開いていて、私の座席から正面にはコクピットが覗けました。
私は感激しながら見つめていましたが、これも娘には理解できなかったようで(T_T)

ドバイ国際空港に到着したのが午前4時でしたが、空港は人であふれていました。
まさに「眠らない空港」です。

空港内のホテルには、宿泊客でなくても利用できるシャワールームがあって、これを利用しました。関空⇒ドバイ10時間、ドバイ待機6時間、ドバイ⇒ヨハネスブルグ8時間と、計24時間の往路でしたので、シャワーは助かりました。
タオルもアメニティもしっかり完備で快適でした。
利用料金は4000円位だったと思います。
高いですが、無料のシャワーは空きがなかったですし、「ドバイは高い」と聞いていましたので、やむなしの選択です。

機内食は日本人に馴染みにくい内容でした。
(細長いお米が出たりなど)

美味しかったのは、ドバイ空港で食べたフイッシュ&チップスです。
イギリス料理ですが、白身魚(タラ?)の身がふっくらしていて良かったです。

以上、とりあえず旅路の報告です。
次は本題の南アフリカをアップします。

本日の病院ごはん 7月30日

火曜日は私の当直担当が多いのですが、手術日でもありますからバタバタです。
手術が終わったら夕方の外来に向かいます。

本日の夕食では、婦人科手術をお受けになった患者さんの術後食と同じ物をいただきました。

 

「カレイの野菜あんかけ」は白身がふっくらとして美味しかったです。

 

「オクラのゼリー寄せ」は、ひんやりと冷たくて暑い季節にぴったりです。

 

こちらは、「ナスの湯葉あん」です。
家庭で湯葉を使った料理を作る事はなかなかないですが、当院の厨房にはベテランの和食調理人がいますので普通に提供してくれます。

 

「とり天」です。
外はサクサク、お肉はジューシーでした。

 

私の当直食にはピザのオマケを付けてくれました。
マリア館の人気メニューで、「ポテト明太ピザ」と「トマトとベーコンのピザ」のハーフ&ハーフです。

お腹いっぱいになりました。
体重が2㎏くらい増えたかも‥

 

本日の病院ごはん 7月9日

今晩の当直食は手術前後の患者さんに召し上がっていただく夕食バージョンです。
マリア館のお産後メニューに比べるとボリュームは軽めですが、それでも男性の私でも十分な量です。

 

「青梗菜(チンゲンサイ)とエリンギ炒め」

 

「茶碗蒸し」 小っちゃいですがカニ付きです。

 

「刺身こんにゃく」 涼しげで夏にぴったりな一品です。

 

メインは「豚肉の青じそ風味揚げ」

 

デザートは、「甘夏あんのくず包み」
くずの皮にはキウイフルーツソースで色づけしてあるそうです。
中のあんは甘夏で甘酸っぱい風味に仕上げてありました。

今日も美味しくいただきました。

今晩も切迫早産、切迫流産の妊婦さんが夜間外来に見えていますが、緊急事態はなくて比較的落ち着いた夜です。

 

本日の病院ごはん 7月6日

今晩は当直です。

マリア館の夕食が用意されていました。
『九州うまいもの御膳』だそうです。

カツオのたたき(鹿児島)

ミニうな丼(福岡 柳川)

団子汁(熊本)

もずく(沖縄)

中華大学芋(長崎)

椎茸とろろそば(大分)

チキン南蛮(宮崎)


イカシュウマイ(佐賀 呼子)

アップするのを忘れましたが、「熊本野菜 長茄子 レンコン」も盛ってあります。
よく集めたものだと感心します。
もちろん美味しい料理の数々です。

メニューを考案した栄養士の皆さん、たくさんの品数を提供してくれた調理師さん、おごちそうさまでした。

 

特別養子縁組あっせん審議会

慈恵病院で生まれた赤ちゃんを養親さんに託す前の審議会です。
医師、看護師、あっせん担当者などが集まって話し合います。
この会議で了承が得られれば、次に病院外委員の方々に諮ります。
そのレベルで同意を得て初めて、赤ちゃんは養親さんに託されます。

 

赤ちゃんと養親組み合わせは赤ちゃんや養親さんの人生を左右しますから、委員や担当者は真剣です。

ちなみに養親さんにとって、この段階では未だ「養親」ではありません。
赤ちゃんは「養子」ではなく、ご夫婦にとって「同居人」でしかありません。

赤ちゃんが養親さんに託された後、家庭裁判所の審判を経て、正式に養親・養子の関係になるまでさらに1年近くかかります。

「こうのとりのゆりかご」講義

熊本大学医学部公衆衛生学の1コマをいただいて、医学部の4年生にお話をさせてもらいました。

南アフリカのBaby Box、「こうのとりのゆりかご」、虐待、愛着障害、特別養子縁組、子ども食堂、病院経営など、たくさんの内容を80分間に詰め込みました。

早口の講義で聞き取れていたのか心配でしたが、終了後に学生さんからもらったメッセージには数々の意見がありました。本当に早口で、短時間しか触れていない講義内容でも、彼ら彼女らは聞き逃していません。
学生さんたちの優秀さに感心した次第です。