第二のゆりかご

私が第二の「こうのとりのゆりかご(ゆりかご)」誕生を願うことは度々ありました。

北海道で乳児遺棄事件が発生すると、北海道にゆりかごが設置されていない事を嘆きました。ゆりかごが批判に晒され孤立感を持った時には、「同じ活動を行っている団体があれば心強いのに‥」と考えたこともあります。

「このとりのゆりかごin関西」という団体が第二のゆりかごを神戸市に開設する準備を進めています。

ゆりかごは実母が匿名で赤ちゃんを預け入れるシステムです。
これは、保護責任者遺棄罪に当たりかねない行為ですが、病院という赤ちゃんの健康を維持できる施設に預けるということで、犯罪ではないと解釈されています。

この解釈が前提ですので、ゆりかごは慈恵病院単独で運用できるものではなく、市長、市役所、児童相談所、警察、乳児院の理解と協力を得て初めて成立します。

第二のゆりかごは、神戸市の助産院を前提に開設準備が進められているようです。助産院やそこをバックアップするNPO法人には覚悟が求められます。慈恵病院の場合、寄付金だけでは運営費をまかなえず、年間約1200万円を病院の会計から補填しています。持続性のある活動のための資金をどのように担保すべきか、関西の運営者には努力が求められると思います。

お金だけではありません。今までなかった業務が増えます。慈恵病院のこれまでを振り返ると、たくさんのマンパワーをつぎこんできました。これは、市役所、児童相談所、警察、乳児院の方々でも同様です。例えば、児童相談所はただでさえ虐待の対応で忙しいのに、ゆりかごに赤ちゃんが預け入れられれば、夜中でも駆けつけなければいけません。

開設から10年が経過し、慈恵病院にとって、ゆりかご活動は日常業務の一環となってしまった感がありますが、決して楽な、簡単な活動ではありません。
関西の方々には、その事をご理解いただきたいと思います。