東京の赤ちゃんポスト・内密出産から1年  #3 内密出産自体には、それほどお金はかかっていない

私は、内密出産で発生する赤字を次のように考えています。

例えば1日に100杯のラーメンを売り上げるラーメン店なら、そのうち1杯は貧困でご飯を満足に食べることができない子どもに無料で提供しても良いのではないかと。

100杯中の1杯にかかる人件費、食材費、光熱費は、それだけで店の経営を圧迫する額ではありません。1杯のラーメンを提供することは、99杯を作りお客さんに提供する作業の片手間にできることで、目に見える形の負担は1玉の麺代くらいです。スープやチャーシューについては、1杯のためだけに作るものではありませんので、100杯の中のオマケ的なコストにとどまります。

しかし、これを1杯の価格として捉えれば、1日700円、1ヶ月で21000円の損と見なすこともできます。これが経営者としての真っ当な見方です。ボランティアや人助けに強い関心と意欲がなければ、毎日1杯のラーメンを無償で提供することは一般的ではありません。

慈恵病院では月に100件以上の出産があり、月に1~2件の内密出産があります。

100杯売り上げるラーメン屋さんのようなイメージです。

当院の分娩室には常時3~6人の産婦さんがいらっしゃいます。内密出産の産婦さんは、この中の1人ですから、他の産婦さんへの対応の合間に、内密出産事例の対応をすると考えれば、実際の負担は大きくありません。点滴バッグ、縫合の針や糸などの消耗品の出費、産婦さんの食費などは病院の持ち出しですが、寄付もいただいていますし、そのレベルをとやかく言うのなら内密出産を運営すべきではないと思います。