戦傷外科の世界

私はかつて宮田先生のご講演をうかがい衝撃を受けました。

人間の体を効果的に損傷するために銃が工夫を重ねて作り上げられてきたことの解説から始まり、さらに損傷された兵士の治療経験を説明されました。宮田 先生のお話しぶりは淡々としたものでしたが、講演内容には人間の業の深さを感じずにはいられませんでした。

最近のウクライナや中国の情勢を見ると、日本も戦争に無縁であり続けることは難しいかもしれません。そのような中で、日本人医師が目撃した戦場の現実と治療の現場を垣間見ていただくことは貴重だと思います。

兵器として日本で話題になるのは核兵器です。被爆国としては当然のことですが、個人的には現実感に乏しいように思います。危機感は保たなければいけませんが原爆投下から80年が経ちますし、禁断の兵器的な位置付けだと受け止めています。

しかし講演で取り上げられる兵器、武器は今でも戦場で使われているものです。私は『ゴルゴ13』を愛読していました。銃や戦闘機、軍艦などには独特の美しさを感じることがあります。しかし宮田先生のご講演を伺った時、自分の想像力のなさや脳天気を恥じました。

いったん立ち止まって考えていただくことも大事かと思います。医療関係者のみならず学生さん、ジャーナリストなど多くの方にご参加いただくことを願っています。