中絶政策転換、米大統領令で助成金禁止
トランプ米大統領は23日、海外で人工妊娠中絶に関する支援を行う民間団体への連邦助成金支出を禁じる米大統領令に署名した。女性の「選ぶ権利」を重視したオバマ前政権の政策を覆し保守色を鮮明にしたhttp://www.sankei.com/world/news/170124/wor1701240010-n1.html
トランプ大統領の言動が毎日のように世界を揺さぶっています。日本のマスコミでは、貿易問題、難民制限、安全保障などが大きく取り上げられていて、あまり目立ちませんが、先日トランプ氏の中絶反対姿勢を反映した大統領令が出されました。
トランプ大統領は、テロ容疑者への水責め拷問を復活させたいと言っている人です。こわもての大統領が人工妊娠中絶に反対するのは、多くの日本人にとって違和感があると思います。
日本社会は、中絶を好ましいものではないが、やむを得ない手段として受け入れていると思います。そして、年間18万件の人工妊娠中絶が合法的に行われています。
慈恵病院が取り組んでいる妊娠電話相談には、次のような相談が寄せられます。
「『堕ろさなければ別れる』と彼氏から言われ困っている」
「娘の付き合っている男がいい加減な人間なので中絶するよう勧めているが、娘が言うことを聞かない」
「産んで育てたいけれど、生活保護を受けているので言い出せなかった。役所に相談したら、『どうして中絶しなかったの?』と怒られた」
「責任を持って育てられないのなら中絶すべき」というのが、日本での一般的な考え方だと思います。
そんな中、「自分では育てられないけれど、大事な命だから、お腹の中の赤ちゃんを殺すことはできない」と、誰にも知らせずに臨月を迎えた女子高生もいました。
ただ、その行動に至る女性は少数派です。
米国民の8~9割がキリスト教徒とも言われています。
キリスト教、特にカトリック教会では、胎児を一人の人間とみなし、中絶を殺人行為として捉えています。中絶反対派の中には過激な人たちもいて、中絶クリニックを放火、爆破したり、クリニックの医師を射殺するケースまで発生しました。
(個人的には、胎児の生命を尊重する人が医師を射殺して良いのか疑問ですが)
トランプ大統領のニュース、改めて日本と米国の違いを考えさせられました。
「じゃあ蓮田は中絶をどう考えるのか?」
私個人は、中絶を希望する女性に反対できません。
中絶せずに産んでくれれば嬉しいです。
事情があって自分で育てられないなら、それでもいいのです。
特別養子縁組を提案します。
それで赤ちゃんの命が救われれば良いと思います。
しかし、妊娠継続と出産を拒否している女性に無理強いはできません。
頻度は低いものの、妊娠・分娩が母体に重大なダメージを与える事があるのを産婦人科医として経験していますので。
また、「育てられない赤ちゃん」が年間18万人、10年で180万人生まれたとき、その養育環境をどう整えるかという問題もあります。
悩ましい問題です。
目下のところは、中絶せずに産んでくれる女性の役に立てるよう、「こうのとりのゆりかご」、電話相談の活動に注力するしかないと思っています。